【ブログ】海外投資は「勝つ」ためではなく、将来に備えるために

海外投資を始める前に

「このまま日本円だけで持っていて、本当に大丈夫なのだろうか」。円安や物価上昇のニュースを目にするたびに、そんな不安を感じる人は少なくありません。

さらに、SNSや動画サイトでは、「若いうちから海外投資を始めたほうがいい」という言葉があふれています。オルカンや米国株、インデックス投資、高いリターンの実績など、魅力的に見える情報も次々に流れてきます。

その一方で、「よく分からないけれど、出遅れたくない」という焦りから、目的を整理しないまま投資を始めてしまう人もいます。けれど、海外投資で大切なのは、商品を選ぶ前に「どんな考え方で向き合うか」を整えることです。

海外投資は「正解探し」ではない

海外投資というと、「どの商品を選べばいいのか」「米国株がよいのか、ほかの国がよいのか」と考えがちです。今から始めても間に合うのかと、不安になることもあるでしょう。

しかし、海外投資はテストのように一つの正解が決まっているものではありません。大切なのは、将来を当てにいくことではなく、資産の置き場所を分散することです。

日本に住み、日本円で収入を得て、日本円で支払って生活していると、私たちは無意識のうちに「日本」と「円」に大きく依存しています。海外投資は、その依存度を少し下げるための手段です。
勝負というより、将来への備えに近い考え方だと言えます。

「若いから大丈夫」と考えすぎない

「若いから多少のリスクを取っても大丈夫」と言われることがあります。確かに、時間がある分、失敗から立て直す余裕はあります。

ただし、それは「どんなリスクでも取ってよい」という意味ではありません。
若い世代は、これから転職、結婚、子育てなど、さまざまな人生の選択を迎える時期にいます。収入や住む場所、働き方が変わる可能性も高いでしょう。
その中で大切なのは、大きく増やすことだけを目指すのではなく、身動きが取れなくなる選択を避けることです。

海外投資は、生活資金や近い将来使う予定のお金で行うものではありません。値動きがあっても生活に影響しない、余裕資金の範囲で考えることが大切です。「NISA貧乏」といった言葉もありますが、普段の生活に支障が出てしまっては本末転倒です。

海外投資は、将来の選択肢を広げるもの

海外投資を「儲かるかどうか」だけで考えると、どうしても短期的な成績に目が向きます。
しかし、もう一段引いて見ると、海外投資は将来の自分の選択肢を広げるための行動とも言えます。
将来も日本で働き続けるかもしれません。海外と関わる仕事をするかもしれませんし、海外で働く可能性もあります。
円だけで生活するとは限らず、円安がさらに進むことも考えられます。
そうした変化に備えて資産の一部を海外に置いておくことには、保険のような意味があります。

どの世代にも共通する投資の軸

60代以降は、「守る」「使う」ための資産設計が中心になります。一方、若い世代は「広げる」「柔軟にする」段階にあります。

ただし、どの世代にも共通しているのは、海外投資の目的が「増やすこと」だけではないという点です。
早く始めた人が偉いわけでも、知識が多い人だけが有利なわけでもありません。大切なのは、海外投資を自分の人生にどう位置づけるかを考えることです。

焦る必要はありません。まずは「何のために持つのか」を考えることから始めてみてください。
その軸があれば、暴落や急激な円高が起きたときにも、慌てて売却して損失を確定するといった判断をしにくくなります。

海外投資を怖いものにしないためにも、この考え方を最初の一歩にしてみてください。

この記事を書いた人

浅野康治
浅野康治KFSC所属 ファイナンシャルプランナー
専門分野

ライフプランニング(特にサラリーマン、小規模事業者)、金融資産運用設計(特に海外投資)、不動産資産運用

主な資格

FP2級技能士、AFP、宅地建物取引士

略歴

大学院工学系研究科博士課程修了、博士(工学)。プライム上場企業で人工知能(AI)の研究開発、事業応用に従事。自らのライフプランとして会社に依存しない人生を目指し、在職中よりフリーランスとして金融・不動産系テックベンチャー等でデータ分析・AI開発に携わる。