【ブログ】公正証書遺言を作ってみた!
遺言は細部まで完璧に詰めなくても、骨格となるドラフトを作っておくだけで、残される家族の大きな助けになります。
遺産の取得は相続人の権利ですが、遺言があれば故人からのギフトに変えられます。資産内容が固まってから作ろうとすると、いつまでも着手できません。税制改正も頻繁にあるため、全てが定まってから書こうとしていては、結局書けません。
まずは初版を作り、必要に応じて見直しや更新を重ねることが大切です。
筆者は2026年4月に自らの公正証書遺言の登記を終えました。今回は、遺言を作成した理由や登記迄のプロセスをご紹介します。
なぜ遺言を作成したのか
前の配偶者との間に子がいる、子がいないが兄妹がいる、同居相続人と別居相続人がいる、財産の大半が不動産である、事業承継が必要である――こうしたケースでは、是非早めの遺言作成をご検討下さい。
では、こういった紛争性がなければ遺言は不要でしょうか。
そうではありません。遺言がなければ、相続人は手探りで財産調査や確定作業を行い、指針のないまま遺産分割協議を行わなければなりません。さらに、相続人に判断能力の問題が生じていれば、法定後見人選任の時間や費用も必要になります。後見人が協議に加わると法定相続分に従った遺産分割が優先され、不動産が共有となり小規模宅地等の特例が活用できなくなる可能性もあります。
一方、遺言があれば、不動産登記や金融資産の承継手続きは円滑に進みます。遺族の日常生活へのスムーズな復帰を願うなら、遺言は決定的な備えになります。
ドラフト作成のポイント
事前に自分でドラフトを作っておく方が効率的に進みます。
まずはインターネット等でサンプルを確認し、全体像を掴みます。その後、財産内容を整理・確定します。生命保険や個人年金は相続財産ではありませんが、「契約により○○を受取人に指定している」と記載しておくと、相続人にとって手続きの助けになります。筆者自身、受給中の個人年金について確認したところ、死亡時の取扱いや手続きが会社ごとに異なり、電子化されていない古い契約では約款の確認に時間がかかることも解りました。
最近はAIでも一定水準のドラフト作成が可能ですが、全体設計ならFP、作成支援なら司法書士や行政書士の活用も有効です。また紛争性がある場合は弁護士、相続税対策が必要なら税理士への相談が安心です。
公証人との打合せと当日の流れ
筆者は事前に公証人と面談し、自作のドラフト、資産関係の資料、本人確認書類を提出しました。その後、公証人作成の最終ドラフトと費用見積りを受領しました。
当日は税理士事務所の担当者ら2名を証人として公証役場へ集合しました。公証人がタブレット端末に記録された原稿を読み上げ、誤字脱字を含めて全員で最終確認を行います。その後、タブレット端末に電子署名を行い、公証人が電子的に登録しました。正本・謄本を受領し、費用を支払って完了です。所要時間は約30分でした。
付言事項の工夫
筆者は、遺言を補完する「補足文章」を別途作成しました。これは遺言内容の説明に加え、認知症発症等に備えた相続前対策や終末期医療方針なども含めたものです。
公証人との協議の結果、遺言本文の付言事項として補足文章の存在を記載し、補足文章自体は登記の対象外と整理しました。A4用紙8ページほどの文章ですが、登記と関係なく自由に更新・差替えができるため、利便性が高いと感じます。
まとめ
2020年には法務局での自筆証書遺言保管制度が始まり、3,900円と安価で検認も不要、指定した者への通知制度があるなど、遺言の利便性が向上しました。
その利用件数も年々増加しています(*1)。また、公正証書遺言の作成件数も増加傾向にあります(*2)。

(筆者作成)
2025年からは、公証人とのリモートでのオンライン面談による公正証書遺言作成も開始されています。さらに、2026年4月に閣議決定された民法改正案では、自筆証書遺言をデジタル化した保管証書遺言の創設や自筆証書遺言への押印廃止も盛り込まれました。
遺言を作りやすくする制度整備は着実に進んでいます。残される家族を思うなら、まずは簡単なドラフト作りから始めてみてはいかがでしょうか。
(*1)「遺言書保管制度の利用状況」(法務省)> 2.本制度の利用状況 https://www.moj.go.jp/MINJI/common_igonsyo/pdf/number.pdf
(*2) 令和7年の遺言公正証書作成件数について | 日本公証人連合会
この記事を書いた人

- KFSC所属 ファイナンシャルプランナー
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専門分野
ライフプランニング、相続、相続不動産売却、成年後見制度
主な資格
AFP・2級FP技能士
略歴
一橋大学・社会学部卒。三井物産㈱及び関連会社にて、原油・LNG物流事業、豪州や中東のLNGプロジェクト事業、排出権事業、石油探鉱開発事業、人事総務業務等に従事し定年退職。
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