【ブログ】認知機能検査から見える“ちょっとした変化”~早めに気づけば、これからの生活がもっと安心になる~
認知症やMCI(軽度認知障害)が増えている今、認知機能検査は、認知症やMCIの「早期発見」と「進行の把握」に役立つ大切な手がかりになります。
こうした認知機能検査で早めに変化に気づくことができれば、これからの生活の準備や、 お金・介護の計画を前向きに整えることができ、安心につながります。
認知症・MCIの現状とリスク
2022年時点で、65歳以上のうち認知症は約443万人(12.3%)、MCIは約559万人(15.5%)と推計され、約4人に1人が何らかの認知機能低下を抱える状況です。
将来推計では、2030年の認知症高齢者は約523万人、MCIは約593万人とされ、超高齢社会の進展とともにさらに増加が見込まれています。
MCIの一部は生活習慣の改善等の介入で正常域に戻る可能性がある一方、未対策のまま放置すると数年で認知症に進行する割合も高いことが報告されています。
このように、認知機能の問題は「いつかの話」ではなく、老後設計を行う誰にとっても現実的 なリスクといえます。

出展 厚生労働省 認知症および軽度認知障害(MCI)の高齢者数と有病者の将来設計より
https://www.mhlw.go.jp/content/001279920.pdf
認知症になると制限されやすいこと
認知症になると、以下のことが制限される。
- 日常生活で制限されること
・運転
判断力・注意力の低下により、運転免許更新時の認知機能検査で運転に制限がかかることがある。
・金銭管理
支払い忘れ、二重払い、詐欺被害、契約トラブルが増えやすくなり、家族信託、任意後見などの準備が必要になる。
・薬の管理・通院
薬の飲み忘れや重複服薬が起こりやすくなるため、サポートが必要になる。
・火の管理
調理中の火の消し忘れなど事故リスクが高まる。 - 法律・契約行為で制限されること
認知症が進行し、判断能力が不十分と判断されると、以下のような制限が生じる。
・重要な契約行為
不動産売買・保険契約・相続手続きなどの契約が無効・取消しになる可能性があるため、金融機関や不動産会社が契約を断ることが生じる。
・銀行取引
大口の引き出し・新規契約の本人確認や意思確認が難しい場合、手続きが進まないことがある。
・成年後見制度の利用が必要なる場合
判断能力が低下すると、本人単独での契約が難しくなり、後見人が必要になる。 - 財産管理・金融面で制限されること
・複数口座・クレジットカードの管理が困難
口座整理・自動引き落としの設定が必要になる。
・投資判断が難しくなる
適切な投資判断が出来なくなり、不適切な取引や詐欺的勧誘に巻き込まれやすくなる。
・相続・贈与の意思表示が曖昧になる
認知症が進むと、遺言書の作成が出来なくなり、適切な意思表示が出来なくなる。
4.社会参加・行動面で制限されること
・外出の制限
外出の際、迷子や転倒リスクが高くなり、家族の付き添いが必要になることが多くなる。
・仕事の継続が難しくなる
業務の複雑さや責任の重さによっては、仕事の継続が困難になる。
・地域活動・趣味の参加が減る
スケジュール管理や移動が難しくなり、地域活動などの参加が減る。
認知機能検査とは
認知機能検査は、75歳以上の高齢者が運転免許更新時に行う記憶力や判断力を測定する検査で、手がかり再生(記憶力を検査するもの)及び時間の見当識(時間の感覚を検査するもの)という2つの検査項目について、検査用紙に受検者が記入し、又は検査に必要なソフトウェアが搭載されたタブレットに受検者がタッチペンで入力して行います。
検査後、採点が行われ、その点数によって「認知症のおそれがない方」または「認知症のおそれがある方」の判定が行なわれます。
「認知症のおそれがある方」に該当された方は、医師の診断書の提出が必要になります。
診断結果により認知症と診断された場合は、聴聞等の手続きを受けた上で、運転免許の取消し、または停止になることになります。

さらに、免許更新時の認知機能検査とは別に、「臨時認知機能検査」というものがあります。
これは、特定の交通違反(18基準行為)をした場合に実施される検査で、内容は更新時の認知機能検査とまったく同じです。
この検査で 「認知症のおそれがある方」 と判定された場合は、医師の診断書の提出が必要になります。
診断の結果、認知症と判断された場合には、聴聞などの手続きを経て、運転免許が取り消し、または停止となる可能性があります。
一方で、医師の診断により 認知症ではない と確認された場合は、臨時高齢者講習を受けることになります。
なお、臨時認知機能検査は、該当する違反があるたびに実施されるため、十分に注意が必要です。
特定の交通違反(18基準行為)とは
〇信号無視 〇通行禁止違反 〇通行区分違反 〇横断等禁止違反 〇進路変更禁止違反
〇しゃ断踏切立入り等 〇交差点右左折方法違反 〇指定通行区分違反
〇環状交差点左折等方法違反 〇優先道路通行車妨害等 〇交差点優先車妨害
〇環状交差点通行車妨害等 〇横断歩道等における横断歩行者等妨害
〇横断歩道のない交差点における横断歩行者妨害 〇徐行場所違反
〇指定場所一時不停止等 合図不履行 〇安全運転義務違反

認知機能検査が気づきの場になっている
運転免許の更新時に行われる認知機能検査は、運転の可否を判断するだけでなく、認知症やMCI(軽度認知障害)を早期に発見するきっかけとしても役立っています。
特に、検査結果で「認知症のおそれがある」と判定された場合は、ご家族が生活やお金の管理を見直す良いタイミングととらえることができます。
ただし、この認知機能検査はいつでも受けられるものではなく、受検できるのは運転免許の更新時、または特定の違反があった場合に限られます。
とはいえ、更新時の検査で認知機能の低下が見られることにより、認知症やMCIに気づく大切な機会になると考えられます。
最後に
認知症やMCI(軽度認知障害)の兆候には、物忘れの変化、判断力の変化、生活リズムの乱れ、気持ちや行動の変化、お金の扱いの変化など、日常のちょっとした違いが表れます。
ただし、これらの変化だけで認知症やMCIと判断することは難しい場合もあります。
そのため、認知機能検査を受けることで、認知症やMCIの兆候に気づきやすくなるというメリットがあります。
検査を通じて早めに変化を感じ取ることができれば、必要な対策を早期に始めることができ、これからの生活をより安心して過ごすことにつながります。
この記事を書いた人

- KFSC理事 ファイナンシャルプランナー
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専門分野
ライフプランニング
主な資格
AFP、2級FP技能士、日商簿記2級
略歴
大学卒業後、某建材代理店に勤務。経理、総務、営業支援に従事。



