【ブログ】2026年を午(HORSE)で読む

 毎年恒例になっているが、干支でその年の「キーワード」「投資戦略」「リスク」について、それぞれの注目ポイントを英語版でまとめている。今年は午年、HORSEを頭文字にして整理したのが下表である。

【2026年を考えるキーワード】

2026年の幕開け

 年が明けて、早くもこのキーワード表に書いたことがいくつも発生している。アメリカのベネズエラ攻撃、中国のリアアース輸出禁止、日本の衆議院解散総選挙報道である。すべて政治に関係しているが、広く言えば「トランプ大統領」が起点でなっていると分析している。

市場変動要因分析の原点

 筆者の国際金融市場分析の原点は、ニューヨーク支店勤務時代に、友人のヘッジファンド経営者から教えられた言葉である。その教えは「世界を地球儀の上に立って見よ!」で、筆者の座右の銘となっている。今は地球儀を米国版の世界地図に置き換えて目の前に置き、この原稿を書いている。米国大陸を中心に、左にアジア、右にヨーロッパがある。

 この地図を見ると、グリーンランドが目の上の“大きなたんこぶ”だ。トランプ大統領もきっと、同じような地図を見ているのだろうと、思いをはせている。MAGAとドンロー主義(ドナルド・トランプ大統領によるモンロー主義:後述)の関係も、米中ロに地域分割してみると視覚的に非常にわかりやすい。

2026年予想の全体像

さて、個人的に考えている2026年の全体感は大きく言えば以下の2点である。

●アメリカが変だ。今年、世界は政治的にも社会的にも大きく変わる。長い間、国際金融市場を観察してきた筆者にとって、トランプ大統領が推進していること、考えていることは、普通の思考では思いもよらないことの連続だ。これからは異常と正常の境があいまいになるだろう。この観点から導きだしたのが、主に「キーワード」である。

●また歴史は繰り返すが、一方これまで経験したことがない想定外の出来事(例えば、低金利に慣れてきた結果の反動が大きなマグニチュードで)発生する可能性があることだ。これは「リスク」だが、リスクは、裏を返せばチャンスでもある。そのうえでリスクを認識した「投資戦略」を立てるために何が必要か考えたのが、今回提示した表である。

トランプ大統領のMAGA

今回は、キーワード表のなかでも関係の多い、トランプ大統領のMAGA戦略に絞って述べていきたい。

MAGA戦略(1)経済戦略

1.MAGA戦略は、トランプ大統領の最近の言動を見ると、「世界(平和、あるいは制覇)実現のために打ち立てた言葉」のように見えてきた。その戦略を「経済戦略」「外交戦略」「国内・社会戦略」に分けて、それぞれの戦術や課題を創出した。

2.まず「経済戦略」は、経済金融運営権を大統領の手中に治めることである。その戦術の一つがトランプ大統領の意のままに動く中央銀行FRB議長の指名である。現在のパウエル議長の任期が2026年5月15日で、後任は早期に指名されると観測されている。現在CEA(米国経済諮問委員会)のハセット委員長が指名されれば、金利低下、ドル安のきっかけになるかもしれない。

3.次に「予算の武器化」である。米国の予算は10月から始まっているが、決着がつかず、昨年10月1日に政府閉鎖に追い込まれた。11月12日に、2026年1月30日までのつなぎ予算設定で共和党と民主党が合意したが、その期日以降の取り扱いは、現在未定である。予算は最終的には大統領の承認がなければ発効しない。トランプ大統領にとって、大きな武器となる。

4.そして、ドル価値を操るための国際通貨システムの改革という戦術もある。トランプ大統領の経済政策ブレーンと言われているミラン氏が提起している課題である。これは一国でできることでなく長期的な問題だが、「金」との再連動もテーブルに乗っている方策の一つであり、しっかりフォローしていかなければならない争点である。

MAGA戦略(2)外交戦略(多極化から地域化)

1.外交戦略は、米国の覇権戦略であり、国家安全保障戦略として文書で明らかにされている。

2.トランプ大統領は「ドンロー主義」と呼んで、今年に入って矢継ぎ早に戦術を実行に移している。モンロー主義とは、1823年に第5代大統領ジェームズ・モンローが年次教書で示した基本的外交方針であり、「南アメリカ大陸とユーロッパ大陸間の相互不干渉を提唱」したものだ。トランプ大統領は、この方針を拡大して、世界を三つに分けて、南北アメリカ大陸を米国が治め、ヨーロッパとアジアをそれぞれロシアと中国に任せると想定している、との見方である。トランプ大統領は、自分の名前をとって、この考えを「ドンロー主義」と名付けている。

3.この延長線上にあるのが「G7からC5」への改革である。きわめてセンシティブな問題であり、詳細は省略するが、遅かれ早かれ日本が矢面に立たされることが危惧される。高市首相のアメリカ訪問は良きにつけ悪しきにつけ、歴史的な日米同盟になるかもしれない。

MAGA戦略(3)国内・社会戦略+選挙:課題

1.一方で、越えなければならない課題もある。その第一関門が相互関税の憲法違反訴訟問題である。そしてエプスタイン問題が控えている。前者については、現在最高裁で審理中であり、早いうちに判決がでるとの見方がある。

2.そして、一番の課題は、中間選挙(投票日:26/11/3)である。選挙戦はこれからだが、過去の例から現在与党の共和党が苦戦になるとの見方があり、ねじれ(上院か下院のどちらか、あるいは両院とも野党・民主党が過半数獲得)になるとの予想がたかまっている。その結果は、今後のトランプ大統領の言動にかかっている。

最後に

昨年の巳年(SNAKE)予想は、3分の2、10項目が的中した。今年がどのような結果になるか、常在戦場で、日夜「24/7」の精神で市場見通しを続けていきたい。

この記事を書いた人

小池正一郎
小池正一郎KFSC所属 ファイナンシャルプランナー
専門分野

金融資産運用設計(国際金融、外国為替、デリバティブ、富裕層向け)

主な資格

CFP®・1級FP技能士