【ブログ】住宅ローン減税の適用拡大について ~より小さな居住面積への適用拡大を検討~

住宅ローン減税は、住宅取得の後押しによる景気刺激を目的に導入された制度。住宅購入は経済への波及効果が大きく、需要を安定させる狙いもあります。同時に、省エネ・耐震性の高い良質な住宅を普及させる政策としても活用され、性能の高い住宅ほど控除が手厚い仕組みになっています。

近年は単身・高齢夫婦世帯の増加や住宅の小型化があり、分譲マンションの平均面積も2001年の95㎡から2024年には70㎡へ縮小してきました。国交省内では実情に合わせた柔軟な基準見直しが求められ、適用基準の居住面積をより小さなものからに変更する検討がなされています。

適用面積の拡大

国土交通省は住宅ローン減税の適用基準となる居住面積の目安を現行の「50㎡」から「40㎡程度」に引き下げる方針を示しました。

狭いマンションや戸建てにもローン減税を適用できるようにしていきます。これは資材高などで住宅価格が上昇する中、小規模住宅の購入を支援し家計負担を軽減する狙いがあります。

新たな住生活基本計画は2035年度までを対象とし、25年度中に閣議決定される見通しです。

背景

世帯構成の変化により単身者や夫婦のみの少人数世帯が増えており、広さ50㎡以上の物件では余裕・過剰になりやすいため、小規模住宅のニーズが高まっている点が挙げられます。

また、住宅取得のハードルを下げる目的もあります。特に都市部では土地も物件価格も高く、小さめの住戸が現実的な選択肢となるため、40㎡台の住宅まで減税対象とすることで、マイホーム取得を後押ししようという狙いです。

加えて、少子化・若年層の住宅支援の観点、若年単身・夫婦世帯や子育て初期段階の世帯にとって、無駄の少ないコンパクト住宅は合理的であり、制度を見直すことで支援の裾野を広げようという社会状況があります。

注意すべき点

①この新制度はいつから適用されるか(契約日・入居日ベースか)や、既契約者への経過措置がどうなるかはまだ確定していません。

②控除額を上げても、自分の所得税・住民税の額が控除の上限になるため、控除を「受けられない」ケースもあります。

③今後、住宅の省エネ性能などが優遇のキーになりやすいので、購入・建築を検討されている方は「どのグレードの住宅か」を早めに確認する方が安心です。

この記事を書いた人

平原雄太
平原雄太KFSC所属 ファイナンシャルプランナー
専門分野
不動産運用

主な資格
CFP®、宅地建物取引士、日商簿記2級

略歴
富士重工業株式会社・航空機の開発,、Bellne USA Inc.(米シアトル貿易会社)・営業、株式会社麗(アパレルメーカー)・営業兼役員、株式会社アストロノート創業(不動産会社)・令和元年設立