【ブログ】金融変動時代の「良いトレーダー」とは?~プラザ合意40周年を迎えて~

不確定時代に24/7で立ち向かう

トランプ政権が誕生して以来、国際金融市場は不確定の時代に入った。

しかし、為替、債券(金利)、株式、商品(金や原油)、いわゆるインターマーケットの世界は、当たり前のように、時間は止まることなく、日夜売買が続いている。株も金も史上最高値を更新、新しい世界が広がってきた。

個人的には、まだ道半ば、大相場になる予感さえある。市場に生きるということは、「24/7(一日24時間/一週7日間)のタイムレス(休みなし)で立ち向かわなければならないということだ」ということを肝に銘じて、毎日市場に向かっている。

プラザ合意は、政治が為替を決める代表例

筆者は、1972年から53年間もの半世紀以上、この生き馬の目を抜くような厳しい国際金融市場の中を生き抜いてきた。

おりしも、今年はプラザ合意(1985年9月22日、ドル高是正のために行われた米国主導のG5国による世界的協調ドル売り介入合意)の40周年に当たる。

今春、トランプ大統領の最側近の一人、現・大統領経済諮問委員会(CEA)ステーブン・ミラン委員長が、「プラザ合意2.0」ともいえる論文を発表したことで、改めてプラザ合意が脚光を浴び、トランプ政権の為替政策探りが盛んになっている。なお、ミラン氏はFRB理事候補としてトランプ大統領から指名を受け、昨日9月4日に議会上院銀行委員会で公聴会が行われた。次回9月17日のFOMCまでには承認されるだろう。

「政治が為替相場を決める」ということでも、“プラザ合意”は歴史に残る出来事である。そこで、トランプ大統領の為替政策を紐解き、この不確定な時代の相場のプロはどう対応していくかについて過去の経験を振り返ってみたい。

トランプ大統領は今でもドル安が好きか

まず、現在のトランプ政権2期目のMAGA(アメリカを再び偉大にする)政策だが、筆者は「関税引き上げによる輸入削減を導き、米国内での製造力を強化し、そして輸出拡大を狙い、最終的には、米国の圧倒的な国際競争力を取り戻すことを目的にしたもの」と読み解いた。

これが戦略とすれば、戦術として、トランプ大統領は、FRBに攻勢をかけ始めた。政策金利の引き下げ要求である。企業や個人の借り入れコストを低下させることで、企業の投資活動を増やし、個人の消費行動を強めようとする策だ。

ドル金利低下はドル安に結び付く。トランプ大統領は輸出競争力の増強を狙ってドル安を誘導していくとの見方になるが、これが機能するかどうかは流動的だ。

毎日フォローしたい「ドルインデックス」

その為替政策を外から見通すうえで役に立つのがドルインデックス(DXY)だ。米ドルの総合的な価値を示す指数で、NY商品取引所やインターコンチネンタル市場(ICE)で取引されている(検索すればだれでも閲覧できる)。

まずトランプ政権1期目のドル安政策の推移を見よう。2017年1月就任月が最高値で103.310だった。すぐに「ドルは強すぎる」とけん制したことで、DXYは下落し、2018年2月には88.253の最安値を記録した。しかし、あまりにもドル安が行き過ぎたとの判断なのか、「強いドルを望む」と発言したことで、再びドルは上昇したが、結局は2020年12月末は89.923で終えた。

バイデン大統領時代(2021-2024)は高値114.778(2022/9)、安値99.578(2023/7)で、2024年12月終値は108.481であった。そしてトランプ大統領は2025年1月20日の就任式を迎えた。その日は109.453で始まったが一日で急落、108.070で終えた。トランプ時代のドル安を暗示するような値動きであった。その後2月3日に109.881まで上昇したが、それが、トランプ2期目のこれまでの最高値。月ベースで見れば1月から6月まで続落、これまでの安値は96.377(7/1)で、以降はほとんど97-99の間で推移している(参考下図)。

収益を上げるために「良いトレーダー」を目指せ

さてこのような国際金融環境の中で、幾多の荒波を乗り越えてきた相場のプロから「変動時代を乗り越える対応力」について、聴いたことがある。答えは「良いトレーダーになれ!」であった。それは、常に何を考え、何を基本として市場に立ち向かっているか、である。

1.まず、良いトレーダーの見分け方について。

イ)「タラレバ」を言い訳にしないのが「良いトレーダー」で、「タラレバ」ばかりなのが「悪いトレーダー」。

(例えば、もっと早く知ってい「タラ」、とか、「昨日のうちに売ってい「レバ」、など」

ロ)「利乗せ」をするのが「良いトレーダー」で、「ナンピン」するのは「悪いトレーダー」。 

(利乗せとは、利益が出ている持ち高を全部利益確定をしないで、逆に持ち高を増やしていくこと。ナンピンとは、持ち値をよくするために買い下がり、または売り上がりをすること)

ハ)時々損をしても。あらかじめ決めていた期間に目標を達成するのが「良いトレーダー」で、一回も損をしないのは「悪いトレーダー」。

(取引に100戦100勝はない。損しないのは何かを隠している)

二)集めた木の葉(=小さな利益)全部を使って勝負しないのが「良いトレーダー」で、木っ端を集めていかだで流す(=大きな損をする)のは「悪いトレーダー」。

ホ)マスト(MUST)で行動する(ルールを守る)のが「良いトレーダー」で、ウォント(WANT)で行動するのが(その時々の感情で動く)のが「悪いトレーダー」。

2.次に、負けないために何をしないかについて。

イ)常にシナリオを立て、ポジションを引きずらないこと。

(取引を始めるときに、利食い価格、損切価格を定め、その相場に達した時は、機械的に実行。利益が出ているときには、利乗せを考える)

ロ)「早く入り、早く出る」コツを覚えること。

ハ)相場変動のキーワード、キーパースンを定め、その動きに乗る。

(これをバンドワゴンに乗るという)

二)勝負は一回でないことを知る。

(取引に100戦100勝はないと意識し、勝つ見込みがないと判断したら、瞬時に手仕舞う決断力を持つ)

ホ) 良き師を持て。

筆者は一つ一つ、ハタ!と膝を打つ。具体的な例は別の機会に譲るとして、まずは参考になれば幸いである。

この記事を書いた人

小池正一郎
小池正一郎KFSC所属 ファイナンシャルプランナー
専門分野

金融資産運用設計(国際金融、外国為替、デリバティブ、富裕層向け)

主な資格

CFP®・1級FP技能士