【ブログ】高齢運転者による交通事故について考える
2019年4月19日東京池袋で高齢ドライバーの車が暴走し、母親と幼い娘が死亡した事故は皆さんも記憶に残っていることと思います。事故の原因は運転者によるアクセルとブレーキの踏み間違いと認定されましたが、当初は車の不具合であるとの運転者の主張のため判決まで時間がかかってしまいました。池袋の暴走事故以降高齢運転者によるアクセルとブレーキの踏み間違いが原因となる事故が数多くテレビ、ラジオ、新聞などから頻繁に報道されていたことが記憶にあります。
過去を振り返ってみると、若年運転者の無謀運転による事故が多発していることが多く報道されていましたが、近年では高齢運転者による交通事故が多発して社会問題化しているのです。
高齢運転者の交通事故発生状況
警視庁のHPに掲載されていますが高齢運転者(第1当事者)の交通事故発生状況(2023年中)によると2019年まではほぼ5500件前後で推移していた高齢運転者の事故が、コロナが感染し始めた2020年以降4500件前後と減少していることが見て取れます。また、事故全体に占める高齢運転者の事故割合も2020年以降15%台に減少しています。高齢者が外出のための運転を控えたことが理由の一つではないでしょうか。下表を参照。
高齢運転者(第1当事者)の交通事故発生状況(2023年中)

出典:警視庁交通総務課統計
・高齢運転者とは、原付以上(特殊車を含む)を運転している65歳以上の者を指します。
・高齢運転者の交通事故発生件数は、第1当事者となった件数です。
一方で75歳以上の運転者が当事者となる死亡事故件数の割合は増加傾向にあり、2018年以降件数は減少傾向にあるものの、死亡事故割合は2021年には過去最高となる15.1%の状況となっています。下表を参照。

出典:高齢ドライバードットコム
運転免許証の自主返納について
現在は75歳以上の方が免許の更新に行くと、認知機能検査と高齢者講習がありますが、3年おきの更新時のみの別途審査では運転適性についての判断が的確に行われるかと言えば難しいと言わざるを得ないのではないでしょうか。
警視庁ではこのような状況を鑑みて「免許証の自主返納」をすすめています。自主返納すると「運転経歴証明書」が発行され過去の運転経歴を証明してくれます。
且つ「高齢運転者自主返納サポート協議会」加盟企業・団体による特典が多数あります。たとえば帝国ホテル東京内のレストランの10%割引、高島屋ではご自宅への配送料が無料、はとバスでは定期観光コース5%引き等その他多くのメリットが提供されています。
それでは自主返納件数はどのような推移になっているでしょうか。令和1年以降減少傾向で推移していました。

が、2025年3月10日警視庁は2024年(令和6年)に運転免許証が自主返納された件数が前年より44,957件増え、42万7914件だったと発表しました。5年ぶりの増加となりました。
高齢者運転免許自主返納サポート制度

神奈川県では下記マークのある店舗・施設で運転経歴証明書を提示すれば、各種特典を受けられるようになっています。

神奈川県の協賛事業所は以下の事業所一覧表よりで確認できます。是非、検索してみてください。
最後に
車の運転は一歩間違うと大変な大きな事故になります。自分はまだ大丈夫と思っている方がほとんどでしょう。身近に高齢で運転されている方がおられれば一言声をかけてみることも愛情の一つではありませんか。事故の加害者は事故の被害者でもあるのです。決して他人事ではありません。
この記事を書いた人

- KFSC副代表理事
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専門分野
保険見直し、ライフプラン設計、資産運用
主な資格
CFP®、1級FP技能士、DCプランナー、証券外務員Ⅱ種、生保:トータルライフコンサルタント
略歴
日動火災海上保険(株)を退職後独立系FPとして独立し保険見直しを中心とした個別相談に数多く携わり現在に至る。FPオフィスあみの代表
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